今回は、
テストの出題範囲を予想する方法
について話します。

この方法は、模試でも、入試でも、テストであれば、広く使えます
また、この先、中学になっても、高校になっても使えます

出題を予想するのは、実力アップにつながる

「出題範囲を予想するって、ヤマをはることでしょう?」
「それ、ズルいよ。本人に、実力がつかないよ。」
そう思われる方も、多いと思います。

しかし、今回、お話をする方法は、
カンニングなどのような、
卑怯で、結果的にその子をダメにしてしまう方法とは違います。

むしろ、その子のやる気を高め、学力アップにつながる方法です。

実力は、階段状に上がるもの

例をあげます。
身近に、中学生の方は、いらっしゃいますか?
もしいらっしゃったら、思い当たるかもしれません。

中学生、とくに受験学年ではない中1や中2は、
勉強に対して、やる気を出さない子が多いです。

倉橋は、小学生も中学生も、長い間、教えてきました。
やる気のなさを比べると、小学生よりも、
中学生の方が、もっとやる気がありません。

しかし、そんなやる気のない中学生も、
中間テストや期末テストの前になると、がぜん、やる気を出します。

人が、変わったかのようです。

テストは、その人を評価するものです。
だれでも、
自分がよく評価されたい』と本能的に思います。

それは、人が生き延びるための生存本能です。

中間や期末テストの前になると、
ふだん、ダラダラしている中学生も、
生存本能に火が付きます。

そして、ここが大切なことなのですが、
中学の中間や期末テストは、
教科書のP25~40から出題するというように、試験範囲が明示されます。

やるべき範囲が、具体的に示されるのです。
その範囲は狭く、「これならできそう!」という気になります。

生存本能に火がついて、
具体的に何をやればいいか指針が示されれば、
人は爆発的に行動し始めます。

高い集中力で、狭い試験範囲を、繰り返し勉強します。

中学生の定期テストの期間は、準備期間も含めて10日程度です。
このわずかな期間に、学力レベルを一気に上げます。

中学生は、定期テストを利用して、
階段を上がるようにポンポンと学力を伸ばし、
高校受験に必要な力をつけていきます。

中学生を見ていると、
実力は、ゆるやかな坂を上るようにのびるのではなく、
階段状に、伸びていくのがわかります。
画像の説明

中学受験をする小学生にとっても、模試は、チャンスの場です。

生存本能に火をつけ、やる気を燃え上がらせ、
学力を一気に上げるチャンスの場です。

模試の範囲は、広すぎる。

多くの模試は、テスト範囲が広すぎます。
倉橋は、そう感じています。

学年のはじめのうちは、出題範囲もせまいです。
しかし、そのうち、復習部分が入り、範囲が広くなり、
最後は、「全範囲」と範囲表にかかれるようになります。

これでは、
やらなきゃいけない!という気持ちになっても、
目標が大きすぎて、体が動きません。

例えば、走るのが好きで、
50mを、8秒1で走る子がいるとします。
「後ちょっとで7秒台だ!7秒台目指して頑張るぞ!」
そう願えば、つらい練習も耐えて、頑張れます。

そして、きっと7秒台で走ることができます。

しかし、
「7秒台なんか大したことがない。50mを5秒で走るぞ。」
「走る以上は、5秒を目指せ」

そう言われると、はじめのうちは頑張れるのですが、
そのうち、理想と現状の差の大きさに、気持ちが折れてしまいます。

目標を7秒台に設定した時の方が、頑張れます。

目標が遠すぎると、頑張る気力がわかないのです。

中学受験を目指す小学生にとって、模試もこれと同じです。

テスト範囲が広すぎると、
範囲を、広く浅く一通り読むだけになりがちです。
変わるチャンスなのに、もったいないです。

私の、学生時代の後悔

そういう自分も、学生時代は、ヤマをかけるのが嫌いでした。

先にも述べたように、
ヤマをかけることは、ズルい!と思っていました。
自分は、自分の実力で戦う!頑固にそう思っていました。

当時の自分は、
試験範囲を予想することと、自分の実力で戦うことは、
二者択一、つまりどちらかを取り、どちらかを捨てることだと考えていました。

そして、自分は、試験範囲を予想せず、
「実力でやるんだ」と、的の絞れない勉強をしていました。

全力を尽くしていましたが、無策でした。
試合をするのに、相手のことをまるで調べずに、
「実力で戦うぜ」と息巻いて戦い、
打ち負かされるようなものです。

倉橋は、自分の志望校の過去問ですら解かず、
大学を受験しました。

過去問を解いて受験するのは、やり方が汚い!
過去問を解かずに受験する方が、かっこい!
そう思っていました。

今、教える立場に立って、自分の受験を思い出すと、
本当に、下手な受験であったと思います。

結果、倉橋は、
高3のはじめに、夢であった第一志望の大学をあきらめ、
実際は、第2志望の大学の、第2志望の学部に進みました。

同級生が、華々しい大学に進む中、
自分が第2志望の大学の、第2志望の学部に決まった時は、
うれしさ半分、無念さ半分でした。

今の自分が、当時の自分にアドバイスができるのなら、
試験範囲を絞ったり、過去問を分析することは、
自分の実力を十分に発揮させる前提条件なんだよ。
そう伝えたいです。

テストの範囲を絞る利点

テストの出題範囲を絞り込むと、以下のメリットがあります。

1.模試が、やる気に火をつけ、
学力をグン!と上げるチャンスに変わります。

2.入試で、その子の持っている力が、より十分に発揮できて、
合格に大きく近づくことになります。

出題範囲は、どのようにして決められるのか

倉橋は、これまで多くのテストを作ってきました。

模試の問題も、塾以外から依頼された問題も、数多く、作ってきました。
模試の作られ方を、話します。

模試は、出題者の思い付きで、適当に作るのではありません。
年間計画にそって、バランスよく作られています。

たとえば、年間で5回の模試が行われるとします。
5回の出題内容は、年度当初に、すべて計画されます。

2つの原則 ①どの講も、まんべんなく

計画を立てるときに、2つの原則があります。

1つは、学習した単元を、バランスよく出題するということ。

具体的には、テキストの目次をまとめた用紙が用意され、
「この講は、第1回目。この講は、2回目。」のように、
バランスよく、5回に分散させるようにします。

テキストで2講~3講連続する大きな単元、
たとえば『てこ』のような単元は、
年間のテストで2回以上出されることもあります。

その場合は、
第1回目のテストでテキストの前半の講、
第2回目のテストでテキストの後半の講の内容と、
素直に分けられます。

どの単元からも、まんべんなく出す
これが1つの原則です。

したがって、年度の最後のテストで、
「○年のまとめ」とか、「全範囲」のような範囲指定があったら、
それは、残りという意味です。

同じ内容は出しません。

よく、前回のテストでできなかったから、
今回も出されたら大変だ!と言って、
前回のテストの復習をテスト対策としてやる人がいます。

テストの復習は、とても大切ですが、
前回出た内容は、次回は、出ません。
作問の構成から、そうなっています。

もし、「全範囲」の指定があったら、
重要な場所なのに、
それまでのテストに出されていない部分、
つまり残りの部分が出されます。

なぜ、全範囲という書き方をするのか?

範囲があらかじめ決まっているのに、
どうして、「全範囲」なんて書くんだ!
そう、怒られる方もいると思います。

塾の立場から言えば、
模試は、「実力を判定するテスト」
そういう評価を受けたいのです。

出題内容を列挙すると、
「なんだ、単元のまとめテストじゃないか。」
みたいに軽く見られるのです。
軽く見られるのが嫌で、範囲をぼかします。

倉橋は、模試も、単元のまとめテストでOKと思います。
実際に、内容は、単元のまとめテストなんです。

出題者側が明示しないならば、
自分で出題範囲を読み取ればいい。

予想された範囲をしっかりやった方が、
広い範囲を浅く読むよりも、ずっと力になります。

大切なことの理解を、
重複なく、まんべんなく確かめる。
テストの出題原則を知っていてほしいです。

2つの原則 ②四分野のバランス

もう1つの原則があります。
理科の単元は、4つに分かれます。
物理、化学、生物、地学です。

物理は力や電気、化学は薬品が出てきます。
地学は、月や星、天気や地層が含まれます。

執筆者は、4分野を、できるだけバランスよく出そうとします。

復習内容を入れるときに、執筆者にこの感覚が働きます。

「今回の学習内容は、生物と地学が多かったな。
じゃあ、復習は、この物理にしようか。」みたいに決めます。

出題内容の絞り方

以下のステップでやってみましょう。
(倉橋が模試を作るときも、似たことをしました)

1.シールを用意します。黄色一色でいいです。(マーカーでもOK)
画像の説明

2.テキストの目次を開き、
第1回目の模試で出された講にシールを貼ります。
そのシールに、1と書きます。

3.テキストのまとめを開き、
出題された内容にシールを貼ります。
(このとき、細かく1問1問チェックする必要はありません。
大ざっぱに、ここが出た!でOKです。)

4.第2回目、3回目の模試を受けたら、
同じ作業を繰り返します。

こうすれば、どこが出て、どこが出ていないか、一目瞭然です。

出ていない場所で、しかも重要な部分を、集中的に勉強すればいいのです。

なお、学年が上がったあとで、
前学年の復習としてテストで出されたときは、
シールの色を変えて、同じ作業をします。

2種類のシールが重なった、
つまり2年にわたって模試で問われた部分は、とても重要な場所です。
何としても、自分のものにしてほしいです。

入試の出題範囲

入試も、模試と似た傾向があります。

ただし、テストが年1回なので、2~4年程度のまとまりで、
バランスを取ろうとする傾向があります。

つまり、2~4年程度で、出題単元を分散させます。
たとえば、去年、豆電球の問題を出したら、
「今年も豆電球じゃ、芸がないな。別のものにしよう。」
という力が働きます。

3年くらいたつと、
「そろそろ豆電球を出してもいいかな。」
という気持ちになります。

つまり、数年間の入試問題を集め、
出題範囲をチェックすると、今年の予想が見えてきます

また、もう1つの原則、
物理、化学、地学、生物をできるだけ均等にする。
の方は、入試では大きく働きます。

そもそも入試は、各中学の先生が作る場合が多いのですが、
物理は○○先生、生物は△△先生みたいに、
最初から配点を分けて、各先生が執筆します。

4分野がある程度均等になるのは、当然のことです。

化学は、出題内容が、同じ単元に集中する

少し、脱線です。
小学校の学習範囲は、化学が少ないです。
結果、化学は、ある限られた単元に出題が集中します。

ものの溶け方、酸性とアルカリ性、中和、気体
このあたりがよく出るのは、上記の事情によります。

入試の出題予想の絞り方

1.履修内容一覧を見る。
入試は、目次がないので、履修内容一覧を用意する。
範囲表
2.古い年度から、その中学で出題された範囲に○印をつける。
最低でも5年分の分析をします。
10年があれば、さらに良し。

3.傾向を読み取り、今年の予想を立てる。
・おそらく、2年連続で同じ内容を出題する学校は少ないと思います。
ときどき出るけど、ここ2~3年出ていない単元が、狙い目です。

・10年もずっと出ていない内容は、先生の脳裏に問題がありません。
今年も、出る可能性は少ないです。

使用上の注意

入試は、その子の一生にとって大きなテストです。
この方法の、使用上の注意点について述べます。

1.超トップ校の入試には、この方法は使えません。
作問の発想が、少し違います。

2.規則性の成り立たない学校がある。
長期計画を持たず、
その年の思いつきで作問する学校もあります。

2年連続で同じ問題を出したり、
そのあと、全く出題しなくなったり。
出題範囲が絞りにくい学校もあります。

3.入試直前で使ってほしい
その学校に入りたいからといって、
「出そうな単元だけやって、あとはやらない!」
これは、リスクが高いです。

何より、その子が中学に入ったあと、ついていけなくなります。

オーソドックスに勉強をして、
受験直前から、予想される単元をしっかり押さえるようにしてほしいです。

なお、入試直前になると、塾が予想問題を出してくれます。

それも活用できます。
ただ、ちょっと問題点があります。

塾は、できるだけ出費を減らそうとしています。
塾の出費で減らせるものは、講師の人件費(執筆代を含む)と印刷代です。

予想問題を毎年作ると、その執筆のために、
膨大な人件費と印刷代がかかります。

そのため、
毎年同じ予想問題を出す塾が多いです。
つまり、同じ問題を、毎年、使い回します。

出題予想は、全面的に塾任せにするより、
各自でやった方がいいと思います。

予想作業は、保護者に

小学生が、模試や入試の出題範囲をしぼる作業をするのは、ちょっと大変です。
保護者の方が、手伝った方がいいともいます。

なお、
理科、範囲表はこちらからダウンロードできます。
範囲表(理科)